ソーマシリ先生とシンハリ語『はだしのゲン』

毎日新聞 2015年04月03日より

 

蘭華寺のソーマシリ先生が、広島の戦争体験を書いた『はだしのゲン』(作者;中沢啓治)をスリランカの公用語の1つ“シンハラ語”に翻訳し、出版を行なった。3月29日、千葉県佐原市の蘭華寺にて、出版祝賀会が開催され国内外から祝福に訪れた。

ソーマシリ先生は、1990年代から日本の大正大学等にて日本語を学び、現在スリランカでは、コロンボ郊外にある「平和寺」の住職をなさっている。日本語とスリランカ語の辞書を編纂するなど、その分野の第一人者である。
スリランカでは、2009年まで内戦が26年間も続き、7万人その犠牲となったといわれており、ソーマシリ先生の「平和寺」では、8歳~20歳までの孤児35人が一緒に暮らしている。
日本の知人から『はだしのゲン』を進められたソーマシリ先生は、ゲンが被爆体験、戦前戦後のたいへんな苦労に中で、苦難を乗り越えて力強く生き抜くストーリーに涙し、「ぜひスリランカで内戦により苦難を背負った子供たちにも、ゲンのような力強さを持って、平和の大切さを知り、前を向いて生きてほしい」と翻訳を決意した。

『はだしのゲン』は、全10巻あるが、今回出版にこぎつけたのは1・2巻、各1000部を自費出版し、コロンボの書店等で販売するほか、図書館や学校にも寄贈する。6月には第3巻が出版される予定。『はだしのゲン』の翻訳版は、スリランカのシンハラ語訳で、23言語目になる。

ソーマシリ先生は、頻繁に日本でも活動され、蘭華寺(千葉県佐原市/管長バーナガラ・ウパティッサ師)を拠点に在日本スリランカ人への布教活動にも助力されている。

●出版に関するお問合わせ/ソーマシリ師に関しては;
蘭華寺(千葉県佐原市)Tel/0478-56-1394

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